最新記事

コーエン兄弟が語る西部劇と賞レースの舞台裏

アカデミー賞を追え!

異色の西部劇から傑作アニメまで
2011注目の候補を総ざらい

2011.02.21

ニューストピックス

コーエン兄弟が語る西部劇と賞レースの舞台裏

コーエン兄弟がジョン・ウェインの西部劇をリメークしたら? ハリウッドの鬼才2人組に新作『トゥルー・グリット』とアカデミー賞について聞いた

2011年2月21日(月)16時09分

元祖を超えるか 父親を殺された少女マティ(左)は、大酒飲みの連邦保安官コグバーン(右)を雇って復讐の旅に出る © 2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

『バートン・フィンク』『ファーゴ』など、独創的な作風で知られるジョエル・コーエン&イーサン・コーエン。彼らは最新作『トゥルー・グリット』で、69年のジョン・ウェイン主演の西部劇『勇気ある追跡』のリメークに挑んだ(日本公開は3月18日)。映画ジャーナリストのデービッド・アンセンが2人に話を聞いた。

* * * *

──今回初めて西部劇に挑んだわけだが、参考に昔の西部劇は見た?

イーサン 実は見てないんだ。馬のスタントとか特定の部分は見たけど、映画自体を見たわけじゃない。

ジョエル 馬のスタントで問題なのは、20年前の映画では可能だったことの90%が、今は動物の扱いに関する規制のせいでできないんだ。

イーサン 仕方がない。当時は動物の扱いがあまりにも残酷だったから。でも、おかげでやりにくい世の中になっちまった。

ジョエル 馬を転倒させるだけでも、あらゆる規則でがんじがらめさ。でもラッキーなことに、今回は信じられないくらい優秀な動物担当トレーナーがいた。それに最近はコンピューターでかなりのことができる。

──お気に入りの西部劇は?

ジョエル 私はジョン・フォード監督やジョン・ウェインのファンというわけじゃなかった。でもジョン・フォードの西部劇で好きな作品もある。『リバティ・バランスを射った男』とか。

イーサン 傾向はまったく違うけど、私たちは(マカロニウエスタン映画の監督)セルジオ・レオーネが昔から好きだ。それにクリント(・イーストウッド)の70年代のクレイジーな作品も。

ジョエル そう、『アウトロー』(76年)なんか本当にいい作品だよ。

──『トゥルー・グリット』はチャールズ・ポーティスの原作小説とどのくらい違うのか。

イーサン 首つりになった男とか、頭部が付いたままの熊の皮をかぶった男は(原作には)出てこない。

──映画のオリジナル版では、父親を殺された14歳の少女マティが泣き叫ぶ場面がある。

ジョエル 私たちの作品では、父親の遺品を見せられても彼女は泣かない。

イーサン 彼女のキャラクターは、揺るぎないプロテスタント信仰が基になっている。

──マティは復讐を誓い、犯人追跡の旅に出る。映画の終盤で、彼女が年を取り片腕のない姿で登場するのがとても良かった。

イーサン あの場面を入れずにはいられなかった。

──彼女が指を切断する場面もある。原作にはあったっけ?

ジョエル まあ、映画だから手足の何本かは切断しないと。

イーサン 基本的に『127時間』の世界だ(岩に片腕を挟まれた登山家が、自分で腕を切断して生還する映画)。

ジョエル ただし、マティが自分で切断する場面は見せたりしないよ。

──マティ役のヘイリー・スタインフェルドは実に素晴らしい。

ジョエル 配役担当のレイチェル・テナーは南部をくまなく回って、ロデオをやる少女たちに会った。数十人、数百人と話をして、結局決まったのがカリフォルニア州でもロサンゼルスのすぐそば、サウザンドオークス出身の彼女だったなんて妙な話さ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄、ポンペオ氏をアドバイザーに トランプ前政権閣

ワールド

〔情報BOX〕米民主34議員、バイデン大統領に撤退

ワールド

世界的システム障害、航空便や医療など影響多岐に 脆

ワールド

日米の防空ミサイル増産協力、ボーイングの部品供給が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
2024年7月16日/2024年7月23日号(7/ 9発売)

日本の報道が伝えない世界の仰天事実。世界の今が見えるニュースクイズ50

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい」と話題に
  • 2
    出産間近!ヨルダン・ラジワ皇太子妃が「ロングワンピース姿」で公務へ
  • 3
    AI生成の「ネコ顔の花」に騙される人が続出!? ニセ種は少なくとも数百人の手に
  • 4
    「別人...」ウィル・スミスと一緒に写るジョニー・デ…
  • 5
    韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
  • 6
    外国も驚く日本の子どもの貧困...見えていない現実を…
  • 7
    椅子もマンホールも爆発する中国「チャイナボカン」…
  • 8
    トランプのコア支持層MAGAに亀裂?副大統領候補バン…
  • 9
    暗殺未遂の瞬間...トランプ前大統領が奇跡的に「死を…
  • 10
    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…
  • 1
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 2
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい」と話題に
  • 3
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過ぎ」で話題に
  • 4
    出産間近!ヨルダン・ラジワ皇太子妃が「ロングワンピ…
  • 5
    トランプが銃撃を語る電話音声が流出「バイデンは親…
  • 6
    ミサイル迎撃の「劇的瞬間」と祝福の雄叫び...「普段…
  • 7
    AI生成の「ネコ顔の花」に騙される人が続出!? ニ…
  • 8
    着陸する瞬間の旅客機を襲った「後方乱気流」...突然…
  • 9
    韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
  • 10
    北朝鮮の「女子アナ」がショック死 「内臓がはみ出し…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 5
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 6
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 7
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
  • 8
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 9
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 10
    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中