コラム

そして彼らの怒りは頂点に達した...ホワイトハウスの「大ゲンカ」を見たウクライナ国民の本音

2025年03月08日(土)16時00分
ホワイトハウスで会話するトランプ大統領とゼレンスキー大統領

ゼレンスキーを出迎えるトランプ(2月28日) YURI GRIPAS–ABACAPRESS.COM–REUTERS

<ウクライナとロシアの国民は、トランプ主導の和平交渉をどう見ている? 世論調査の意外な結果が明らかに>

ロシアとウクライナの戦争は、アメリカ史上最もシュールな大統領執務室のエピソードによってテレビのリアリティー番組まがいの展開を見せた。ところでウクライナ人とロシア人は、トランプ米大統領の戦争への介入をどう考えているのだろう。

ウクライナ側の意見は多様な民主主義国家の例に漏れず、一枚岩とは言い難い。昨年12月に行われたキーウ国際社会学研究所(KIIS)の世論調査によると、45%がトランプ大統領の誕生で平和が近づくと答えた一方、31%がそのような平和はほとんど、あるいは全く不公正なものになると考えていた。


ウクライナ人は当初、トランプの再登場が何をもたらすかについて意見が割れていた。だがトランプが交渉に乗り出すと、空気が一変。独立系の調査機関レイティングによれば、ウクライナが直接関与しない米ロの和平交渉は裏切り行為だという回答が91%に達した。

トランプはウクライナのゼレンスキー大統領に「独裁者」のレッテルを貼る一方で、プーチンをそう呼ぶことを拒否。ゼレンスキーを「そこそこ成功したコメディアン」呼ばわりし、国連大使に命じてロシアの侵攻を非難する決議に反対票を投じさせた。

ネット上では、ロシアを支持する独裁国家とアメリカを並べて非難するウクライナ人の投稿が拡散。そしてアメリカ史上最もシュールな大統領執務室のシーンが放映されたとき、彼らの怒りは頂点に達した。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インフレなおリスク、金利据え置き望ましい=米アトラ

ビジネス

トヨタ、米に今後5年で最大100億ドル追加投資へ

ワールド

ウクライナ・エネ相が辞任、司法相は職務停止 大規模

ワールド

ウクライナ・エネ相が辞任、司法相は職務停止 大規模
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 3
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story