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ウクライナ戦争1年、西側メディアが伝えない「それでもロシアが戦争をやめない訳」
反体制の立場を鮮明にする勢力はほぼ全て国外に脱出し、国内で反プーチン蜂起が起きる可能性は完全に消え去った。ロシア国内にとどまっている反プーチン派に対する締め付けも強まっている。プーチンに反対する人物を投獄しやすくする法律が相次いで成立し、本格的な独立系メディアも完全に閉鎖されたためだ。
ロシア人の半分以上は、行政府の権限が拡大していることを問題とは感じていない。というより、それを支持している可能性が高い。
戦争に反対してロシアを離れたとみられるロシア人は膨大な数に上るが、国外に脱出した人々が移住先で大規模な反戦デモを行った例はない。彼らはプーチンの愚かな戦争への嫌悪を公言するが、ロシア領から何千キロも離れた所にいても、戦争反対の大きな声を上げようとしない。
そしてもちろん、ロシア国内では今や反対意見は存在しないも同然だ。反体制派が厳しい法規制を受けているのは確かだが、ロシアの同盟国イランの国内弾圧はその数倍の厳しさだろう。それでもイランでは、反政府集会が盛んに行われている。
ロシア人の元教え子や友人を見ていると、戦争が日常化しすぎて鈍感になり、ほぼ忘れてしまっていることがよく分かる。私の妻はウクライナのドンバス地方で育ち、戦争が始まるまでロシアに住んでいたが、彼女の友人のほとんどは侵攻開始後すぐにトルコやアルメニア、セルビアに脱出した。だが今は全員がロシアに戻り、侵攻前とほぼ変わらない生活を送っている。
マクドナルドやネットフリックス、フェイスブックを利用できない日常生活を喜び、楽しんでいると語る者も一部にはいる。ロシア人は自分たちの超人的な適応能力を誇りに思っているのだ。
世論調査の数字もそれを裏付ける。人々の不安感は2022年に過去最高に達したが、「部分動員令」の発表後すぐに通常レベルに戻った。
ある有名なロシアのアナリストはこう言った。「戦争の責任を取ろうとする者はほとんどいない。私は、旧ソ連時代に農作物を収穫するために集団農場に送り込まれた人々の行動を連想する。ジャガイモを掘るのが好きな学生はいなかったが、抵抗したり抗議したりすれば、社会から完全に排除される。だから何はともあれ農作業をやった。今も同じだ」
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