コラム

メドベージェフは後継本命から後退...プーチンが絶大な信頼を置く「影の実力者」とは

2022年10月19日(水)17時22分

3. ドミトリー・メドベージェフ(安全保障会議副議長、与党・統一ロシア党首)

221018p18_PPT_04.jpg

VALENTIN YEGORSHINーSPUTNIKーPOOLーREUTERS

問題をもう1つ。プーチンはロシア統治の全期間、ずっと大統領だったか。答えはノー。憲法上、プーチンがいったん大統領職を退かなければならなくなったとき、つなぎ役として08~12年に大統領を務めたのが、それまで副首相の任にあったドミトリー・メドベージェフだ。首相時代には、私の勤めていた大学で毎年1月、経済改革派の元首相エゴール・ガイダルの名を冠した会議が開催されるたびに基調講演を行っていた。

当時のアメリカの対ロ政策の根底には、メドベージェフが西側とのビジネスができるリベラル派のテクノクラートになるという考えがあった。最先端のテクノロジーに強い関心を持ち(プーチンはメールを使ったこともない)、英語も流暢で欧米流のスタイルにも通じている──大統領に就任した当初は、西側に楽観的な空気が広がっていた。現在は安全保障会議副議長、与党・統一ロシアの党首を務めている。

メドベージェフはウクライナについて、「憎い」「消滅してほしい」などと、次期指導者候補の中で最も強硬な主張を唱えている。事情通によれば、プーチンが再び大統領職の禅譲を約束した可能性もあるが、大統領時代の西側との友好ムードは一瞬の幻想だったとプーチンにアピールするため、あえて過激な表現を使っている可能性もあるという。

4. セルゲイ・ショイグ(国防相)

221018p18_PPT_05v3.jpg

EVGENIA NOVOZHENINAーREUTERS

12年から現職のショイグ(67)は、1年前なら後継者の本命だった。

シベリアのトゥバ共和国に生まれ、プーチンと仲良くハンティングに興じる姿がたびたび報じられた。94年に非常事態相に就任。危機が起きればヘリで現場に駆け付けて事態を収拾し、国民を安心させて定評を築いた。世論調査ではプーチンに次ぐ人気政治家だったが、ウクライナ侵攻では惨憺たる失態続き。ポスト・プーチンともてはやされたのが嘘のように、今や聞こえてくるのは更迭あるいは逮捕されたのではないかという噂ばかりだ。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪中銀、2月利上げ後の金利見通し不透明=議事要旨

ビジネス

豪BHP、上半期利益が22%増 銅・鉄鉱石など好調

ワールド

北朝鮮、新築住宅の建設目標達成と国営メディア 党大

ワールド

トランプ氏、イランとの交渉に間接的に関与へ 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story