コラム

トランプの足音再び――2022年の米政治を左右する4つのポイント

2021年12月22日(水)12時00分

バイデンもハリス(後ろ)も支持率は振るわない JONATHAN ERNSTーREUTERS

<共和党が中間選挙で失地回復する一方、民主党では「不人気」ハリス副大統領を見切る声が。後継者と目される人物とは......>

2021年の終わりに当たり、2022年のアメリカ政治を最も大きく左右しそうな4つの問題について考えてみたい。

1. バイデンは「軟弱」のレッテルを剝がせるか

バイデン米大統領の経済実績を客観的に見れば、世論調査の数字はもっと高くてもいいはずだ。就任以来、住宅価格は20%超の上昇。家計資産は19・6%増と、最近のインフレの影響をはるかに上回る。それでも支持率は42%と、危険水域で低迷している。

バイデンが不人気なのは、「軟弱」とみられているからだ。就任当初の「ハネムーン」期には、リベラル派は前任者(トランプ)と対照的な冷静さと常識を称賛したが、有権者の評価は(特に大統領選勝利の決め手となった無党派層で)逆転した。

国境地帯では移民が増え、インフレは7%近くに達し、殺人事件も増え、ロシアのプーチン大統領と中国の習シー・チンピン近平国家主席は蜜月を演出している。

バイデンはこれらの問題と戦う力とスタミナ、気力が残っていることを示し、「軟弱」のレッテルをはがさなければならない。

2.共和党の中間選勝利でトランプはどう評価されるか
 
共和党が上院で、そしておそらく下院でも多数派を奪還するのは間違いなさそうだ。

中間選挙の政党別世論調査では、民主党に4ポイント差を付けている。さらに再選を目指さず引退を表明した現職議員は民主党が共和党より50%多く、現状に満足しているアメリカ人は30%を下回る。

歴史的に見ても、大統領与党は1946年以降、中間選挙で平均27議席減らしている。共和党内部では、依然としてトランプの力は圧倒的だ。トランプの推薦を受けた候補は、ほぼ確実に予備選で勝てる。

ただし、共和党が大番狂わせを演じたバージニア州知事選は、大統領返り咲きを狙うトランプにとって不利に働く可能性がある。共和党の候補は20年の大統領選でバイデンが10ポイント差で勝った州で民主党の前知事を破ったが、勝利のカギはトランプの介入を実質的に阻止したことにあった。

ワシントンでは、2021年1月の連邦議会乱入事件を扇動したトランプの役割に関する調査委員会の活動が本格化している。前大統領の影響が小さい選挙区で勝てれば、上下両院で多数派を奪還できる──共和党がそう判断すれば、トランプとの関係を見直す可能性がある。

3.ハリスは後継者になれるか 

ハリス副大統領の不人気ぶりは驚くべきレベルだ。支持率はトランプより低く、仮に次の大統領選でトランプと対決した場合、10ポイント近い差で負けると予測されている。

民主党にとってはまさに悪夢だ。バイデンは再出馬の意向を示しているが、2期目の終わりには86歳になっている。民主党陣営は早くもハリスに見切りをつけ、バイデンの別の後継者を見つけようと躍起になっている。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米独首脳が会談、イラン紛争や貿易巡り協議 ウクライ

ワールド

イラン中部ナタンズ核施設、攻撃で損傷も放射能漏れな

ワールド

ゼレンスキー氏、湾岸アラブ2カ国首脳と電話会談 防

ワールド

トランプ氏、スペインと全取引停止へ イラン攻撃で基
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び率を記録した「勝因」と「今後の課題」
  • 4
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 5
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 6
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「日本食ブーム」は止まらない...抹茶、日本酒に「あ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story