コラム

「コロナ後の世界」に立ちはだかる2つの難題

2020年05月12日(火)17時40分

2番目は「アフリカなど南半球での感染拡大継続」という問題です。今回の新型コロナウイルスは、過去のコロナウイルス、例えばSARSやその他のインフルとは違って、高温多湿でも感染力を保つ可能性が指摘されています。ですが、コロナウイルス一般の性質として、RNAを囲んでいるタンパク質のケースは温度や湿度には弱く、北半球の夏場には活性度が下がることが期待されます。

ですが、その場合でも、反対に秋から冬を迎える南半球でのパンデミックが続くようですと、北半球の秋以降の「第2波」がより深刻なものとなる危険が増します。と言うことは、この間、南半球での感染拡大を阻止するために、国際社会の協力が必要です。つまり、WHOを批判している場合ではないわけで、改革や人事が必要ならそれを行った上で、WHOを中心に国際社会が結束して、南半球でのパンデミック阻止に動かなければなりません。

この2つの問題は重要ですが、現時点のアメリカやヨーロッパには、そうした戦略的な支援や対話を行う余裕は極めて乏しいのが現実です。その意味で、人口あたり死亡数が、一桁から二桁低い日本の場合は、国際協調のイニチアチブを取ってゆく責任があるように思います。日本にとって「コロナ後の世界」を考えるとは、そうした問題ではないでしょうか。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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