コラム

民主党予備選、穏健派がどの候補に一本化できるかが今後の焦点

2020年02月13日(木)16時15分

サンダースは現時点でのトップに躍り出たがNH州の得票は前回より大きく減らした Rick Wilking-REUTERS

<ニューハンプシャーでのサンダース勝利で、民主党内の過半数を占める穏健派の今後の動向が予備選の鍵になってきた>

2月11日にニューハンプシャー州の予備選が終わり、民主党の大統領候補絞り込みについては、当面の構図が見えてきました。とりあえず、現時点での状況と今後の注目点を整理しておきます。

1)サンダース候補はアイオワで僅差の2位、そしてニューハンプシャーで勝利ということでトップに躍り出たのは事実。一方で、地元バーモントの隣の州であるニューハンプシャーで、2016年には60%得票していたのが、今回は25.7%というのはやや苦戦とも言える。だが、陣営の結束は固く、2016年以上に「負けてもいつまでも負けを認めない」可能性はある。また、ウォーレン候補が失速しつつある中では、唯一の左派候補としてますます妥協はできなくなっている。

2)ブティジェッジ候補は、アイオワで1位、そしてニューハンプシャーでも24.4%(首位のサンダースとは1.3%差)の2位と健闘。だが、続くネバダ、サウスカロライナでは有色人種票が取れそうもなく(黒人有権者の支持が低い)、また3月3日のスーパー・チューズデーへ向けての全国組織も未整備。本人の経験不足もあり、オバマ級の「旋風」を起こす勢いはまだない。

3)クロブチャー候補は、2月7日のテレビ討論で切れ味の良いところを見せて急上昇。得票率19.8%の3位は大健闘。大学はイエール、法科大学院はシカゴという俊秀で、法曹から政界入りし、上院議員として「典型的な中道州で民主党から立候補して3回連続当選」は立派。国政への経験も十分。一方で、組織力は未知数。

4)ウォーレン候補は、アイオワ3位、ニューハンプシャー4位と精彩を欠いている。政策を左派で行くのか中道にシフトするのか、ハッキリしない中で失速中。

5)バイデン候補は、アイオワ4位、ニューハンプシャー5位と大失速。最大の問題は、「トランプの改悪をひっくり返してオバマ時代に戻す」という姿勢が、「オバマの8年間にも不満」という若い世代にはまったく響かないこと、そして本人がおそらくその点を理解していないこと。サウスカロライナ予備選(29日)では、黒人票を独占しての復活を期しているが、空振りに終わると完全に赤信号が点く可能性も。

6)ブルームバーグ候補は、序盤4州の予備選は回避して、いきなり3月3日のスーパー・チューズデーに参戦という戦略。選挙資金としては無尽蔵と言える個人資金を投入して既にテレビキャンペーンをスタートしており、全国世論調査での支持率は上昇中。だが、ここへ来て「ニューヨーク市警の差別的な捜査方法を擁護した発言の音声」が出回って苦境に。また、サンダース陣営からは億万長者の金権選挙だと強い反発が出ている。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イエメン、分離派抑え込みに作戦実施 「平和的」と主

ワールド

イランで大規模デモ、景気低迷への抗議で死者も トラ

ワールド

シャンパンボトルの花火が原因か、40人死亡のスイス

ワールド

ベネズエラ大統領、米と関係改善意向 麻薬協議・投資
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story