コラム

強気一辺倒だったトランプに起きた「異変」とは

2018年08月28日(火)15時00分

ですが、今回のように「無視」→「遺族への短い形式的な弔意」→「故人への弔意」と発言が変わったこと、また星条旗の扱いについても「半旗」→「元に戻す」→「批判を浴びて再び半旗に」と対応が変化したこと、これは異例なことだと思います。というのは、貿易戦争から移民政策まで「どんなに極端な政策でもブレない」ということを売りものにしてきた、この大統領「らしくない」からです。

異例ということでは、8月22日にFOXニュースの単独インタビューを受けた際の大統領の発言もおかしなものがありました。大統領は、自分から「私を弾劾することなんてできない、やったら市場はクラッシュする」という発言をしています。一見すると強気とも取れますが、大統領自身の口から「弾劾(impeachment)」という言葉が飛び出したのは、まったく異例なことです。

トランプにしては珍しい「弱気」と見ることができます。多くの側近が司法当局と取引して、大統領周辺のカネの流れなどについて証言を始めている中で、多くのスキャンダルを正面突破する自信がなくなってきたのかもしれません。

もちろん現時点ではFBIやムラー独立検察官が、大統領をそこまで追い詰めることが可能なのか、まだまったく先行きは不透明です。また、11月の中間選挙へ向けた与野党の選挙戦もほとんど拮抗しており、どちらが勝つかは見えません。

ですから今後の政局に関しては、それこそ「一寸先は闇」なのですが、少なくとも「ブレることなく、常に自信満々」だった大統領に「異変」が起きつつあるというのは注目するべき点だと思います。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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