- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクー…
トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクーデター
そこで出てくるのが第3のシナリオです。弾劾ではなく、「合衆国憲法修正25条4項」を使って、副大統領と過半数の閣僚が「大統領の職務遂行不能宣言」を行うという「副大統領によるクーデター条項」を発動するのです。これはケネディ暗殺事件を受けて制定されたもので、とにかく副大統領と閣僚の過半数が署名すれば「大統領を職務停止に追い込める」というものです。
その場合、大統領サイドが「4日以内に異議」を申し立てると、その異議を却下するには議会の3分の2が必要となるのですが、その場合も「共和党の副大統領が、果敢に大統領の職務停止へ乗り出した」となると、民主党としては同調せざるを得なくなります。そうすれば、ペンス副大統領は政治的な求心力を手にすることができます。
何よりも弾劾裁判というのは、下院で発議し、上院では最高裁長官を裁判長とした「審理」をしなくてはなりませんが、この「クーデター」の場合は証拠を並べる必要はないので、今回のような複雑なケースには適しています。
その場合、本当に「クーデター」をやるのであれば、そんなに時間はありません。2018年の中間選挙を、ペンスの主導で戦って共和党が議会での勢力を維持するには、年内がデッドラインになると思います。一方で、大統領サイドとしては、ロシア疑惑に決着をつけて、何が何でも支持率を上昇させる必要があります。政局は風雲急を告げてきました。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>
大谷翔平の今後の課題は「英語とカネ」 2024.03.27
植田日銀の大規模緩和「出口戦略」は成功しているのか? 2024.03.20
『オッペンハイマー』日本配給を見送った老舗大手の問題 2024.03.13
「日本企業への妨害」と「日本切り捨て」のリスク...トランプ復活で、日本は最大の標的に? 2024.03.07
ガザ「即時停戦」提案でハリス副大統領の存在感は復活できるか? 2024.03.06
事実認識が欠落したまま過熱するアメリカの移民論議 2024.02.28
ライドシェア制度前進のために、まず論点の整理を 2024.02.21