コラム

はしかの流行が暴露したアメリカの予防接種の実態

2015年02月04日(水)13時34分

 民主党のヒラリー・クリントンなどは「地球は丸いし、空は青い。ワクチンは有効で、我々は全ての子どもを守らなくてはならない」として、共和党側の「任意接種」を強く批判しています。この辺りの左右対立は、国民皆保険論争にも重なってきています。

 CDCも声明を出して、接種の徹底を呼びかけています。例えばミシシッピ州などは、「医師の診断による接種不適事例」以外の接種拒否を認めていないために、摂取率は99.7%だそうですが、同州では今のところ罹患事例は出ていないということです。

 要するに、アメリカのMMR摂取率100%というのは神話に過ぎなかったのです。07年当時も、アメリカで感染が起きたというのは、アメリカでのワクチン接種が徹底していなかったことの証明でもあるわけです。ということは、当時は日本ばかりを悪者にしたことで、アメリカ自身の問題を直視するのが遅れることになったとも言えます。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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