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【写真特集】観光客が消えたイタリアの今
THE STATE OF THE ART
Photographs by TERRAPROJECT
<VENICE>普段ならリアルト橋から見る大運河にはゴンドラや水上バスが行き交うが(6月2日)
<コロナ危機は、イタリア経済が大幅に依存してきた観光業の在り方を見直すチャンスかもしれない>
新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)で、大きな打撃を受けているのがイタリアの観光産業だ。現在、渡航や移動の制限は少しずつ解かれているが、国境を越える旅行への抵抗感はまだ強い。
観光業はイタリアで最も収益性の高い産業の1つだった。毎年6300万人が訪れ、推定収入は2300億ユーロ。GDPの約13%を担い、国内労働者の14%を雇用する。だが政府観光局によれば、イタリア行き飛行機の予約は6月が前年比95.2%減、7月は82.4%減、8月は76.4%減。観光業界は過去最悪の70~80%減収になるとの予測もある。
特に、観光への依存度が高い大都市ほど苦しい。その代表格であるフィレンツェ、ベネチア、ローマの今の姿を、ドキュメンタリー写真家集団テラプロジェクトが記録した。
状況が元に戻るのは2023年とも言われるなか、危機は観光業の在り方を見直すチャンスかもしれない。南部パエストゥムの遺跡公園の責任者ガブリエル・ズクトリゲルは言う。「訪問客との1対1の関係を重視する、新たな形の観光を考えるべきだ」