Picture Power

【写真特集】家族の誰かと似てるって、どんな気分?

FAMILY RESEMBLANCE

Photographs by ERIC MUELLER

2020年06月20日(土)15時00分

【クロアット姉妹】子供の頃、よく周囲の人たちに名前を間違われた。今は同時期に生まれた子供たちがママの名前を混乱してしまうみたい。―—ケイト・ヒギンズ・クロアット (左端、妊娠中の姉妹のテレサ・ヒギンズ・クーアン、エリザベス・ヒギンズ・ボールドウィン、クリスティン・ヒギンズ・ディアスと)

<顔が似るほどに家族の愛は強くなるのか? ほかにはない形で家族を結び付けるのか?>

養子として育った写真家エリック・ミューラーは、「誰かに似ている」とはどんな感じなのかといつも考えていた。似るほどに愛は強くなるのか? ほかにはない形で家族を結び付けるのか?

育ての親には愛されたが、同性愛者で子供のいない(夫はいる)自分を、空を漂う葉っぱのようにも感じていた。そんなミューラーは40代で養子斡旋組織の力を借りて実の親を探し始め、45歳のときに母シェリルの写真を手に入れる(しかし、彼女は8年前に亡くなっていた)。

自分に似た人間を初めて見たときの気持ちは何とも説明しづらいものだったという。「安堵と驚嘆と喜びが入り交じり、生物学的な家族なしに育った喪失感への悲しさもあった」

稲妻に打たれたようなその経験を理解するために、彼は遺伝的つながりがあり、よく似た家族を記録することに。3年間で約700人を撮影したプロジェクトは、写真集『家族の相似』にまとまった。

被写体には家族と似ていることの意味を尋ねたが、答えは人によってさまざま。それでも誰かと根源的なところでつながっていることの証しと、それがもたらす安心感は共通しているようだった。

ppfamily02.jpg

【カッセル娘/母】家族の中で一番似ているのは母親。通りやレストランでも「そっくりですね」と声を掛けられる。今ではそういう状況にも慣れ、自分たちの特徴について人々と気軽に話すようになった。――デーナ・キャスリン・カッセル(左、母のデニス・キャスリン・ジェスパーと)


ppfamily03.jpg

【ケオボウンフェン母/息子】1979年にインドシナ難民として、家族6人でミネソタ州に来た。ここには私たちのような外見の人はいなくて、そっくりな見た目は特に目立っただろう。――ソウリヤン・ケオボウンフェン(写真は母のセウス・ケオボウンフェン[左]と兄弟のリック・ケオボウンフェン)


ppfamily04.jpg

【リトル母/娘】私は母と祖母に似ていると言われる。2人は美しいと思うから、褒め言葉と受け取っている。家族の中に人種の違いがあるので、外見が似ていることにはほっとする。――アルレタ・リトル(右、母のシンディー・ティプトンと)


ppfamily05.jpg

(左上から時計回りに)シグムンド父/息子、リー娘/母、アサンデ・トティメ娘/父、ケネディ息子/父

今、あなたにオススメ

キーワード

ニュース速報

ワールド

欧州、ウクライナ和平巡る協議継続 15日にベルリン

ビジネス

ECB、成長見通し引き上げの可能性 貿易摩擦に耐性

ワールド

英独仏首脳がトランプ氏と電話会談、ウクライナ和平案

ビジネス

カナダ中銀、金利据え置き 「経済は米関税にも耐性示
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲う「最強クラス」サイクロン、被害の実態とは?
  • 4
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story