Picture Power

【写真特集】ライオンもサイもいない スター不在の地味にすごい国立公園を救え

The Lost World of Udzungwa

Photographs by Frédéric Noy

2025年11月18日(火)16時52分
アフリカ

ウズングワ国立公園の端に位置するサンジェ村近くでサトウキビを運ぶトラック。周辺ではサトウキビやコメなどの単一栽培農業が広がり、農地を拡大している

<世界的にオーバーツーリズムが深刻化する中、タンザニアではスター動物不在で観光地として無視されるうちに、周辺の人口増加や農地開発に飲みこまれている野生生物の楽園がある。経済活動と環境保全との均衡維持を目指す現地の取り組みとは>

壮大な自然と野生動物に恵まれた東アフリカのタンザニアには22の国立公園がある。特に有名なキリマンジャロやアルーシャ、セレンゲティを中心に、昨年は150万人以上の観光客が殺到した。だが、年間たった8000人しか訪れない国立公園もある。国の中心に位置するウズングワだ。

山々に熱帯植物が生い茂り、1979年に固有種のサルであるサンジェマンガベイが発見された少々マニアックなウズングワには、ライオンもサイもヒョウもいない......ということを、観光客もよく承知しているらしい。

アフリカ大陸でも有数の生物多様性と肥沃な大地を誇るこの「知られざる楽園」は、観光地として無視されるうち、徐々に周辺の農村人口増加や農地開発、森林伐採によって侵食されてきた。

map_tanzania.jpg
環境保護団体などは周辺農家への環境教育に加え、野生動物が人間に妨害されずに移動できる回廊づくりに取り組む。同時に、観光客誘致にも力を入れる。土地を保護する最善の方法は、その地に価値を持たせることだからだ。

生物多様性の聖域は、その生き残りのために、創意工夫が求められている。

Photographs by Frédéric Noy; Project carried out as part of a photographic commission initiated by the Yves Rocher Foundation

撮影:フレデリック・ノワ
フランス人ドキュメンタリー写真家。タンザニア、ナイジェリア、スーダン、チャド、ウガンダ、カザフスタン、インドを拠点に「スロー・ジャーナリズム」の手法でニュースの背景にある社会の課題を時間をかけて取材している。フランスの主要メディアを中心に作品を発表。

【連載21周年】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」2025年10月28日号掲載

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:戦時下でも「物流を止めるな」 ウクライナ

ワールド

メキシコ南部でM6.5の地震、首都でも揺れ 大統領

ワールド

再送ウクライナ北東部ハルキウの集合住宅に攻撃、2人

ビジネス

米国株式市場=5営業ぶり反発、ダウ319ドル高 半
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story