コラム

GoToは全廃が筋

2020年11月21日(土)21時00分

新型コロナ感染が急増する東京(11月19日) Issei Kato-REUTERS

<国の新規感染者は遂に2500人を超えた。今こそ、もともと 間違っていたGoTo政策をやめて病院や保健所の充実に金を使うべきだ>

全国の新型コロナウイルスの感染者が初めて2500人を超える感染拡大の中で、政府はGoToトラベルやGoToイートの運用を見直すと発表した。感染地域への旅行予約や、食事券発行の一時停止などを検討するという。いっそ全廃すればいいのだ。続けなければならない理由が何かあるだろうか?

何もない。

継続しているのは、感染リスクはどうでもよくとにかく経済を戻したいと思っているか、もしくは、自分の決めた政策に文句を言われるのが嫌か、耳の痛い諫言を聞くのが嫌か、どちらかしか考えられない。

GoToは、どう考えても、即刻終了すべきだ。

理由は3つ。

第一に、GoToの役割は終わった。唯一意味のあった役割は、自粛しすぎていた日本の消費者たちに、遠慮せずに旅行や外食に行っていいんだよ、というきっかけ、自粛自縛からの解放のきっかけをつくってあげたことだ。これに尽きる。

そして、それは十分に効果を発揮した。だから、もうすぐにやめるべきだ。

今は、感染拡大している。一方で自粛を求めつつ、外食、旅行を必要以上にしろ、と税金でバーゲンセールするのは120%意味不明だ。


奪われる教育機会や治療機会

第二に、解放の対象も間違っていた。なぜなら、もともと自粛に熱心でない、むしろ相対的に注意不足、対策不足の人々が大手を振って活動を活発化させた一方、本来はそこまで自粛する必要がないのに、過度に自粛し恐れてしまっている人々の自粛は解けていない。また注意不足の人々が政策によって感染拡大リスクをさら拡大させているのを認識すれば、過剰な自粛はさらに過剰になる。

しかし、9月よりは今の方が慎重になるべきなのは間違いがなく、恐れるのは論理的に正しい。論理的に正しいが、過度に恐れている人々は高齢の富裕層が多く、彼らの活動が委縮していることは、経済にとっても大きなマイナスだ。

普段行ったことのない高級旅館に、一生に一度だけ、感染リスクへの意識が希薄な人々が押し寄せ、税金で値引きされたからとエンジョイし、しかし、税金の値引きで行っているだけだから、税金値引きが効かないものは消費せず、消費拡大効果は限定的だ。もちろん旅行や外食に行かないよりは効果があるが、税金支出のコストパフォーマンスとしては悪く、この2か月だけでなく、この先数年の経済を考えればマイナスの効果で、経済活動以外の教育機会やコロナ以外の治療機会、介護の機会を縮小させているので、社会にとってはとことん悪い。

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国外相、キューバ外相と会談 国家主権と安全保障を

ビジネス

マレーシア、今年の成長予測上げも AIブームが後押

ビジネス

英建設業PMI、1月は46.4に上昇 昨年5月以来

ワールド

ドイツ企業、政府の経済政策に低評価=IFO調査
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 4
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story