コラム

GoToは全廃が筋

2020年11月21日(土)21時00分

実際、人気のある高級旅館は、100%とはいかないが、8割方客は戻っており、GoToのおかげで、優良顧客の常連さんが、混んでるなら行かないということで、GoToの客に押し出されてしまって迷惑をこうむっているという声は強い。人気がやや劣る高級旅館は助かっており、日本人が行かなくなった安いだけのインバウンド向けの宿などは、GoToで一息つけて大変ありがたがっている。そういう構造だ。

飲食も同じで、人気店は予約がとれなかったのが、予約が取りやすくなり、普通に回っていたのだが、GoToで余計な客が押し寄せ、客単価が下がって迷惑している。一方、人気店が予約でいっぱいなので仕方なく人々が行っていた二番手の飲食店は、コロナで、人気店に行きたい人が行けるようになって、流れてこなくなり、悲鳴を上げていた。そういう店は、GoToで客が戻り、非常に喜んでいるそうだ。

地味な高齢の常連さんで細々やっていたところは、何をしようがあまり変わらない。人々の感情的には、そういう店こそ助けたいのだが、そこにGoToは関係ない。あざといサイトとチェーン店とさらにあざとい客が税金の恩恵を受けているだけだ。


そもそもが間違いだった

第三に、もともと、GoToという政策が間違っている。4月に、適切に恐れ、適切に対応すれば十分なのに、緊急事態宣言を知事たちとメディアが求め、それに人気取り政策で政権が応じてしまったことが間違いで、もともと、あそこまで自粛する必要はなかったのだ。

しかし、日本国民は従順で臆病だから、知事とメディアとそれに登場する、欧州やニューヨークの例を挙げる間違った有識者に(まちがった知識を持っている人も有識者だ)、脅され、おびえて、自粛に励んだ。

しかし、この自粛カードは一回しか通用しなかった。

これは、欧米でも同じで、もはや全面ロックダウンはどのような状況になっても、人々は受け入れず、だから、政治もそれを実行はできない。

日本もまったく同じで、自粛要請は人気取り政策として意味がなくなったから、どの知事も言わなくなった。

過度にリスクを警戒しすぎたが、基本的には自分たちの立場で感染症のことだけ考えてバランスの悪い提言をし続けてきた専門家たちは、今度も感染対策を最優先として提言する。

このアドバイスを政権が聞くはずもないし、メディアに押されて部分的に聞き入れたアリバイ作りをするだけだろう。

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油8%超急騰、イラン攻撃で海運にも混乱

ワールド

トランプ政権の今後の計画見えず、イラン攻撃受け=米

ワールド

イラン攻撃に各地で抗議、パキスタンで23人死亡 パ

ワールド

米兵3人死亡、対イラン作戦で初 トランプ氏「終結ま
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 4
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 5
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 6
    【銘柄】「三菱重工業」の株価上昇はどこまで続く...…
  • 7
    【銘柄】「ファナック」は新時代の主役か...フィジカ…
  • 8
    米・イスラエルの「イラン攻撃」受け、航空各社が中…
  • 9
    「高市大勝」に中国人が見せた意外な反応
  • 10
    最高指導者ハメネイ師死亡(イラン発表)、トランプ…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 7
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story