コラム

日本が新型肺炎に強かった理由

2020年03月16日(月)14時55分

つまり、社会が分断されており、移民およびそれに類する人々が社会の中では実質的に分離されているために、医療の問題や社会的な包容力の問題もあり、社会的に保守的でいられる人々の外で問題が広がり、もともと相互に理解、信頼がないから、外で感染が広がれば大きな恐怖感を持つし、それに対して、現場レベルの感覚がなく、合理的かつ草の根の丁寧な対応ができず、感染も広がるし、それに対する反応も当初無反応、一旦認知されるとヒステリックなまでの拒絶反応ということになっているのではないか。

英国の一部(多く?)で支持されている、むしろ先に感染率を上げておいたほうが社会としての免疫力が高まるという考え方は、植民地の疫病に対する政策を見ているようで、合理的な可能性もあるが、発想として、やはり異文化を感じる。議論している人々は、自分たちのまわりは、衛生管理が行き届いているし、感染を避ける余裕もあるから、相対的に感染率が低く、また感染しても、きちんとした医療が受けられるから、死にはしないから安全という背景があるのではないかと勘ぐってしまう。

日本政府の対応に対して建設的な批判、提言をすると同時に、日本社会の総合的な力、構造について、もう一度考えてみたいとおもう。

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プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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