女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」がB級トンデモ作品でも「正解」と言える理由

山東省の映画館にある映画『731』のポスターには無数の書き込みが(9月18日) CFOTOーSipa USAーReuters
<第二次大戦中の731部隊をテーマにした中国映画『731』。史実を無視したB級トンデモ映画と言われており、中国国内でも酷評の声が多いという。だが、映画としては駄作でも、プロパガンダとしては成功と言えるのかもしれない>
袴姿の看守
トンデモ作品と話題の中国映画『731』。ネタバレを含むが、映画のあらすじを紹介した上で、なぜこのような作品が中国で生まれたか考えてみたい。
映画はまず、紋付袴を着用した石井四郎が日本家屋の座敷で「石井式濾過器」を披露するシーンから始まる。石井は髭を生やした70代ぐらいの白髪の老人で、細身ながらヤクザの組長のような威圧的なオーラを醸している。座敷は金色の襖が何枚もあり、床は真っ赤。石井四郎は731部隊の創設者であり、汚水を浄化する濾過器を開発したことでも知られる。なお、終戦時の石井の年齢は史実では53歳である。
続いて場面は中国・ハルピンへと切り替わり、本作の主人公である行商の中年男性、王永章が登場する。王は数人の外国人を相手に石井式濾過器を売りつけようとしており、突然パンツを下ろして濾過器に向かって放尿する。実演販売として濾過した尿を自ら飲んで見せようとしたところ、日本軍に踏み込まれ、捕獲される。
一方、石井は特別列車でハルピンへ向かう。石井が小学校低学年ぐらいの娘2人に対して「故郷の寿司が恋しいだろう」と語りかけると、付き人が車内に包丁とまな板を運び、石井は黒鯛のような魚を生きたまま捌き始める。娘たちは首に桜の焼印を入れられている。
到着したレンガ造りの収容施設は3階建てぐらいで、細長い巨大な日章旗が屋上から何枚も垂れ下がっている。王たち囚人は、全裸になってプールに入るよう指示される。施設の看守たちも袴を着用しており、手には木刀のようなものを持っている。それぞれの牢屋には畳の小上がりが設けられ、囚人たちは小上がりに布団を敷いて寝る。
突然の花魁道中
劇中、特に印象的なのは「731部隊 特別班班長」という肩書きの若い女性兵士。今村佳代という名前で「新しいガクトーハイノショウゴウ、カンヤウジツマシタ!」など、変な日本語を多用する。
施設内では「天皇親善、食物宝貴、健康換取自由(天皇親善、食物は貴重、健康と自由を交換する)」という中国語のスローガンが繰り返し使われ、囚人たちはそう叫ぶよう強要される。
王は語学力の高さを見込まれ、配膳係に任命される。施設の廊下で配膳カートを押していると、突然、尺八と三味線の音色が聞こえ、花魁道中が横を通る。高下駄を履いた妖艶な芸者が番傘を差し、三味線を引くちょんまげの従者を連れて施設内を闊歩するのだ。先頭の白装束の男は「石井」と書かれた提灯を下げている。
日本化したハルピンの街には「ティンラ 染 ティンラ リファ」という謎のカタカタの書かれた暖簾を下げた店舗もあった。
施設内では囚人たちの血液を試験管に採取し、実験室の天井から大量にぶら下げている。「ノミ培養工房」では、ステンレス製のベルトコンベアに置かれた金属製の箱のなかで、ネズミたちにペスト菌が注射される。透明なプラスチック製の防護マスクや大型エレベーターもあり、かなり近未来的な光景だ。
画面に両腕が現れ、生きたまま腕の皮を剥がされるシーンが現れる。さらに、凍結した外国人男性の腕を日本兵が金槌で思い切り叩く。男女の激しい悲鳴が耳に残る。今村は囚人の一人を軍刀でしばき、背中から突き刺し殺害する。「こっこは番号のみだ。名はなんかないぞ。さっからうやつがいればー、全員ぶっころーすぞー!」。血塗られた軍刀を手に、絶叫した。
壁一面が漢方薬の引き出しとなっている奇妙な部屋で、日本の少女たちが10メートルほど上下運動する滑車に乗りながら漢方薬を集めている。その後、王はこの部屋から漢方薬を盗んで調合し、囚人仲間のペストを治す。石井は「あの支那の医者たちに負けた」と悔しがる。
囚人の少年が宙に浮いて廊下を飛んでいくシーンも流れるが、これは脱獄が成功した場面を想像した王の夢想世界として表現されている。
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