コラム

フジテレビが中居正広に対し損害賠償を請求すべき理由

2025年04月06日(日)10時53分

守秘義務は「お金」の問題

③守秘義務の解除

中居正広が守秘義務の解除に応じなかったため、「女性に対して何をしたのか?」という核心部分はベールに包まれている。被害女性が希望するのであれば、私たちは彼女に発言の機会を与えなくてはいけない。

「守秘義務」と聞くと絶対に守るべき鉄の掟のように思う人もいるかもしれないが、決してそんなことはない。示談の際に「口外したらダメですよ」と約束を交わしただけだ。約束を破れば中居正広が女性に対し損額賠償請求を仕掛けてくる可能性はあるが、それは結局のところ、お金で解決できる問題である。


 

そのお金は当然、訴訟費用含め全額フジテレビが払うべきである。「守秘義務によって被害女性に損失が生じた場合は、すべて弊社が負担する」とフジは公言すべきである。そうすれば、守秘義務は解除されたも同然である。

中居正広は、金の力で弱い者を黙らせようとした。ならば、その呪いを解くことができるのは、やはり金の力である。

もっとも、中居正広の性暴力が明るみになった今となっては、示談を交わした当時と前提がまったく異なる。仮に中居正広から損害賠償を請求されたとしても、大した金額にはならないのではないか。

④被害女性の名誉回復

被害女性が望むのであれば、フジはすぐにでも女性を復職させる必要があるだろう。その際は世の中のほとぼりが冷めた頃を見計らい、可能な限り誹謗中傷されない方法で、彼女の望む職場に復帰させなくてはならない。

すべては彼女の希望を聞くことから始まる。

テレビ局にはさまざまな分野の業務があるだろう。社員として復帰しなくとも、業務委託契約などさまざまな方法で、被害女性の将来を明るいものにしなくてはならない。フジテレビにはその責務がある。

ここまでは女性に対してすべきことだが、これではまだ不十分である。

プロフィール

西谷 格

(にしたに・ただす)
ライター。1981年、神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。地方紙「新潟日報」記者を経てフリーランスとして活動。2009年に上海に移住、2015年まで現地から中国の現状をレポートした。著書に『ルポ 中国「潜入バイト」日記』 (小学館新書)、『ルポ デジタルチャイナ体験記』(PHP新書)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB追加利下げ、ハードル非常に高い=シュナーベル

ビジネス

英BP、第2四半期は原油安の影響受ける見込み 上流

ビジネス

アングル:変わる消費、百貨店が適応模索 インバウン

ビジネス

世界株式指標、来年半ばまでに約5%上昇へ=シティグ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story