コラム

原発処理水「中国の過剰反応」は怒っても無駄、あきらめるしかない

2023年08月28日(月)13時14分

反中でも嫌中でもなく......

ではどうしたら良いのか。

結論から言うと、「あきらめるしかない」のだと思う。まったく意味がないのは、中国に対して憎悪を抱くことだ。反中感情や嫌中感情を煽ったところで、何の解決にもならない。

今後しばらくの間、日中間の距離は遠くなり、両国間の国民感情は冷え込むだろう。日本企業もこの数年の経験で、チャイナリスクを嫌というほど分かったはずだし、この流れだと日本製品の不買運動も起きるかもしれない。と思ったら、すでに化粧品の不買が始まっているという。

中国のネット上に流れている動画には、教室で教師が生徒たちに向かって「日本は人類に対する罪を犯した」と教え、日本を批判する作文を執筆するよう指導する姿が映っていた。今後、中国人の反日感情はさらに高まっていくだろう。

それは良いことだは思わないが、仕方のないことだ。民主主義の世界の住人と、全体主義の世界の住人では、どうしても分かり合えない部分がある。

中国人とどう接したら良いかというと、新興宗教にハマっている友人に接するような感じで向き合うことをお勧めしたい。

新興宗教を信じ切っている相手であっても、一緒にご飯を食べたり、普通におしゃべりを楽しんだり、笑い合ったり助け合ったりはできる。でも、触れてはいけない話題、触れたところで絶対に分かり合えない話題というものがある。歴史問題や領土問題に加えて、原発処理水の是非もその一つになるのだろう。

嫌悪したり嘲笑したりする必要はない。反中でも嫌中でもなく、「離中」あるいは「諦中」という態度が求められているのだ。

プロフィール

西谷 格

(にしたに・ただす)
ライター。1981年、神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。地方紙「新潟日報」記者を経てフリーランスとして活動。2009年に上海に移住、2015年まで現地から中国の現状をレポートした。現在は大分県別府市在住。主な著書に『ルポ 中国「潜入バイト」日記』 (小学館新書)、『ルポ デジタルチャイナ体験記』(PHPビジネス新書)、『香港少年燃ゆ』(小学館)、『一九八四+四〇 ウイグル潜行』(小学館)など。

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