最新記事
シリーズ日本再発見

日本経済のカギを握るのは、外国の資産30億円「超富裕層」たち!?

2018年07月02日(月)16時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

japan180702-2.jpg

skynesher-iStock.

世界の「超富裕層」が日本に来たがらない理由

本書で言う「超富裕層」とは、3000万ドル(約33億円)以上の純資産を所有する世帯を指す。2016年のデータでは20万人ほどで、世界人口の約0.003%に過ぎないが、彼らの保有資産は世界全体のGDPの3割近くに達するという。

世界経済を動かしているとも言える超富裕層たちが、バカンスの滞在先としてだけでなく、ビジネスの拠点として日本を選ぶようになれば、将来にわたって多額の消費をしてくれることが期待できる。それだけでなく、継続的な投資につながる可能性も大いにある。

確かにそうかもしれない。そして、そうした超富裕層を惹きつけるには「彼らにとって、ゆっくりとプライベートな時間が過ごせる滞在型施設と移動手段」が欠かせないというのだ。

そう聞くと、日本にだって高級ホテルや高級旅館は既にいくつもあり、飛行機も新幹線も全国を網羅しているじゃないか、と反論したくなる人もいるだろう。だがここで重要なのは「彼らにとって」という部分。それがよく分かるのが、超富裕層向けラグジュアリー・レジデンスの値段だ。

2016年に開業した「フォーシーズンズホテル京都」のレジデンスでは、1住戸の値段が推定で4.8億〜13.8億円。2016年に売り出された「プラウド六本木」では最高価格が14億円を超え、今年完成した「パークコート青山ザ・タワー」の最高価格は15億円だ。

だが、世界のレベルはこんなものではない。シンガポールには約55億円、香港には約92億円のレジデンスがあるというが、さらに上もある。ニューヨークの「One 57」は約120億円、モナコの最高級レジデンス「Tour Odéon」」はなんと約470億円だそうだ。

これらに比べれば、確かに日本の施設は"お手頃価格"と言えるのかもしれない。

さらに、超富裕層と言えばプライベートジェット。各国の保有機数は、アメリカが1万3133機(うち民間以外は367機)、イギリス589機(同10)、ドイツ410機(同6)、フランス176機(同34)、同じアジアの中で言えば、中国が245機(同5)、インドが157機(同12)となっている。

それに対して、日本における保有機数は85機。しかも、そのうち58機が政府専用機などで、民間所有はわずかに27機に留まっている。政府専用機などの占める割合が大きい点も気になるが、いずれにしても、圧倒的な差をつけられていることに変わりはない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中