コラム

変調を迎えた日本経済...参院選に「減税政策への追い風」が及ぼす影響は

2025年07月08日(火)19時10分

景気判断の「悪化」と米関税の「25%関税」を踏まえると...

現在、日本経済の停滞は一段と鮮明になっている。内閣府は、7月7日に発表した5月景気動向指数の一致指数の基調判断を「悪化」に引き下げた。内閣による客観的な景気判断だが、コロナ禍の2020年7月以来、4年10カ月ぶりに日本経済が変調を迎えていることを意味する。

さらに、7月8日にはトランプ米大統領が、日本からの輸入品には一律で25%の関税を8月から賦課する通知を日本政府に送った。交渉が進んでいるとみられるEUなどと異なり、石破政権による対米関税交渉が進まずに、4月2日に発表された相互関税が結局8月から賦課されるとみられる。

これらを踏まえると、経済政策の機能不全によって、日本経済は2025年後半からマイナス成長に転じるリスクが高まっている。金融財政政策ともに景気刺激方向に転じる必要が高まる中で、家計への減税が一段と必要な情勢になりつつある。

こうした減税政策への強まる追い風は、今回の選挙結果に大きな影響を及ぼすだろう。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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