コラム

虚と実が融合する『仁義なき戦い』は何から何まで破格だった

2020年10月01日(木)11時25分

広く知られたことであるが、広島に実在した美能組の初代組長だった美能幸三の獄中手記をベースにしているから、映画に登場するヤクザたちはほぼ全て実在している(あるいはしていた)。つまり実録だ。ただしこれは美能の視点。当然だけどフィクションだ。

でも1作目が当たってシリーズ化してからは、太秦の撮影所には毎日のように現役のヤクザたちが集まって撮影を見物し、時には自分を演じる俳優に演技指導もしていたという。とにかく何から何まで、今ならば絶対に不可能な作品だ。

ここで紙幅が尽きた。本当は脚本の笠原和夫について、あるいは映画と時代との相克について、文太さんについても書きたかったのだけど、やはりこの映画は巨大過ぎる。

magmori200929_Jingi2.jpg『仁義なき戦い』(1973年)
監督/深作欣二
出演/菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹、金子信雄

<本誌2020年7月28日号掲載>

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森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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