コラム

給付策「年収960万円」があぶり出した「家族像」の問題

2021年11月24日(水)19時15分

「年収960万円」という線引き自体も見てみよう。児童手当に準じたとされるが、960万円以上で児童手当が減額されるのは「子供2人と年収103万円以下の配偶者」の場合等である。子供の数が増えれば減額の基準は高くなるし、反対に配偶者を含む扶養親族等の数が減れば下がる仕組みだ。

つまり、「年収960万円」という線引きには、親が1人ではなく2人いて、その片方が所得の多くを稼ぎ出し、もう片方は主に家事労働に従事して、そして子供が2人いる、こうした2+2の特定の家族像が暗黙の「モデルケース」として織り込まれているのだ。

現実を見れば、共働きが主流化していることに加え、ひとり親世帯も珍しくなく、また2000年代半ば以降は子供が1人の世帯(2019年には子供がいる世帯の46.8%)が2人(同40.3%)を上回っている(国民生活基礎調査)。

家族の形は変わる。政策もまた変わらなければ、溝は広がるばかりだろう。

<本誌11月30日号掲載>

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プロフィール

望月優大

ライター。ウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。著書に『ふたつの日本──「移民国家」の建前と現実』 。移民・外国人に関してなど社会的なテーマを中心に発信を継続。非営利団体などへのアドバイザリーも行っている。

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