コラム

火星での生活を実感...日本科学未来館「深宇宙」特別展で体験した「宙」に広がる新たな仕事とは?

2025年08月29日(金)18時55分

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実際に手に取ったり触ったりして重さや手触りを実感できるトラスロッド(実物)

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月や火星の模擬レゴリスの解説コーナー

未来の宇宙の仕事

深宇宙展はもちろん大人にとっても多くの学びがあるが、特に子どもにはさまざまな刺激を提供し、好奇心や想像力を惹起すること請け合いだ。

特別展を通じて宇宙への興味が高じ、その道に進みたいといった場合、子どもたちにはどのような職業の選択肢があるだろうか。宇宙に携わる仕事と言えば、宇宙飛行士が今も昔も、洋の東西を問わず夢のあるテッパンの人気職となっている。高い技術力と豊富な専門知識、そして何よりチームワークや勇気が求められ、狭き門として成り手はかなり限られていた。

ただ、現代は先述の前澤さんのように、民間人の宇宙旅行が実現し始め、企業間競争により低価格化の傾向にある。これも民間主導の宇宙開発時代の「ニュースペース」の恩恵の1つと言える。

さらに、宇宙旅行プランナーや宇宙建築家といった、将来の宇宙ビジネスの裾野の広がりを感じさせる新職種が芽吹いている。中には、探査機や衛星の破片などの宇宙ゴミ(スペースデブリ)を回収する「スペースデブリハンター」のような未来的な名称の仕事も、今後の宇宙分野の安全性向上と持続可能な成長には欠かせないとして注目を浴びている。宇宙へ行くのが(宇宙的に)そう遠くない将来に一般化すれば、宇宙エレベーターの運行者やスペースシャトルの添乗員といった職業も新たに生まれるポテンシャルを秘める。

新しい気付きがあり、自分と宇宙とのつながりを感じられる深宇宙展。会期の9月28日まで、盛況が続きそうだ。

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夢が広がる宇宙のお仕事

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プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

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