コラム

日本でも導入が進む次世代交通LRT・BRTのポテンシャル

2021年09月15日(水)19時15分

これまで見てきたように日本ではLRT化やBRT化が路面電車や老朽化したローカル鉄道で少しずつ検討されている。また連節バスは乗車人数が多い路線でドライバー不足を補う解決策として期待されている。

一方、LRTやBRTを走らせようとすると相当なハードルを越えなければならない。市民からの強い要望や関係者の合意形成を要する。宇都宮市は、通勤のクルマで慢性的な渋滞問題を抱えていたため、解決策として理解されたが、それでも反対の声が上がった。

またクルマ移動がメインの日本では、自動運転専用レーンを作ることすら難しい状況にある。鉄道のBRT化についても、自分の街から鉄軌道がなくなることに対して抵抗がある人も多いだろう。

神戸市など新設でLRTを導入したいと考えている自治体が日本にもいくつかある。導入には多くのハードルがあるが、長期的な街のあり方を考えた上で必要と判断したならば、綿密な計画を立て、時には思い切った舵取りをしてみるのも良いのではないだろうか。

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プロフィール

楠田悦子

モビリティジャーナリスト。自動車新聞社モビリティビジネス専門誌『LIGARE』初代編集長を経て、2013年に独立。国土交通省の「自転車の活用推進に向けた有識者会議」、「交通政策審議会交通体系分科会第15回地域公共交通部会」、「MaaS関連データ検討会」、SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)ピアレビュー委員会などの委員を歴任。心豊かな暮らしと社会のための、移動手段・サービスの高度化・多様化とその環境について考える活動を行っている。共著『最新 図解で早わかり MaaSがまるごとわかる本』(ソーテック社)、編著『「移動貧困社会」からの脱却 −免許返納問題で生まれる新たなモビリティ・マーケット』(時事通信社)、単著に『60分でわかる! MaaS モビリティ革命』(技術評論社)

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