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トランプ関税で「同盟国間のサイバースパイ活動」が加速...信頼の「静かな崩壊」が生むリスクとは
日本の政府機関や三菱や三井など大手企業も標的に
例えばアメリカは、強力なサイバースパイ能力を親密なパートナー国に向けて行使することを躊躇わない。2013年に元CIAの内部告発者であるエドワード・スノーデンによって漏洩された文書で、国家安全保障局(NSA)がドイツのアンゲラ・メルケル首相とその側近の通信を傍受していたことが確認されているのもその一例だ。この侵害行為は外交上の侮辱行為にとどまらず、他の同盟国にも自分たちも対象になっていることを自覚させた。
また2015年に内部告発サイトのWikiLeaksが、アメリカの機密文書をいくつも公開し、NSAが日本の内閣官房をはじめとする政府機関のみならず、中央銀行や経済産業省、さらには三菱や三井といった大手企業をも通信傍受していたことが明らかになった。
これらの作戦は重要な貿易交渉と同時期に行われており、経済情報が主要な目的だった。2010年代初頭には、米国情報機関が環太平洋パートナーシップ(TPP)の機密交渉中に日本の当局者を監視していた。
フランス大統領や高官らも監視されていたことがわかり、フランスは自国の情報機関もアメリカの外交官や企業を標的にしていると示唆した。2012年から2014年の間には、デンマークの情報機関が、ドイツやフランス、スウェーデン、ノルウェーのリーダーらに対するアメリカの監視を秘密裏に支援していたことも判明している。
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