コラム

自民大敗、でも石破続投......なら、次の政局はいつ、どんな形で訪れるのか?

2024年10月29日(火)10時31分

政党法なき政党は、会社法なき会社と同じ

しかし今必要なことは、たとえ迂遠に思えたとしても、日本の議会政治を立て直すことではないか。今の日本に政党を律する「政党法」が存在しないことが真の問題であるように思われる。

いわば会社法なき会社のようなもので、日本政治を蝕むパー券政治のような「腐敗」が進行すると、その都度弥縫策が取られ、不十分だと感じた怒れる有権者が「お灸」を据えることが繰り返されてきた。しかし、石破氏も愛読するというギリシャ哲学の碩学・田中美知太郎は「必要とされるのは感激や熱狂ではなく、しらふの冷静な勇気である」と言っている(田中美知太郎政治論集『市民と国家』130頁、サンケイ出版1983年)。

ガバナンスの構築とコンプライアンスの確保を両輪とする「政党法」を制定し、政党交付金の範囲内での政党運営を常態化させる政治のリスケーリング(縮尺変更)を図り、会計処理の明確化と民意反映回路の再構築を確立させることが、日本の政治を立て直す「大道」となるように思われる。混乱を極める今、冷静にその大道を描き果断に実現させた政党こそが、今後の日本政治を担うことになるに違いない。

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2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗幣インタビュー

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プロフィール

北島 純

社会構想⼤学院⼤学教授
東京⼤学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、現在、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹及び経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員を兼務。専門は政治過程論、コンプライアンス、情報戦略。最近の論考に「伝統文化の「盗用」と文化デューデリジェンス ―広告をはじめとする表現活動において「文化の盗用」非難が惹起される蓋然性を事前精査する基準定立の試み―」(社会構想研究第4巻1号、2022)等がある。
Twitter: @kitajimajun

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2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

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