コラム

公共放送に転換点...BBCは「偏向報道」認めたのか? トランプ演説「編集」問題で、トップ辞任の意味

2025年11月11日(火)20時57分

今回の辞任劇は英国の公共放送を巡る大きな転換点になる可能性を孕む。トランプ氏はBBCに対し法的措置を辞さない構えで、弁護士は「誤った名誉毀損的・扇情的放送だ」として10億ドル相当の損害賠償を11月14日までに求める旨の警告書をBBCに送ったという。

BBCのサミール・シャー理事長は「判断ミス」と断じ視聴者に誤った印象を与えたことを認める一方で「制度的偏向」には当たらないと弁明した。トランプ氏の圧力はグローバルな報道の信頼性、法的リスク、BBCの危機へと波及し、首脳の交代は先手を打ったとも解される。

受信料を巡る政府との関係と編集の独立のバランス

ジャーナリズム倫理という観点からは文脈を変えて自分たちの主張を強める行為は許されないが、切り取って誇張するのがメディアの常套手段。 BBCは王立憲章に基づいて運営されており、受信料を巡り政府との関係と編集の独立のバランスを取る重大な課題を抱えている。

4月から受信料は年169.5ポンドから174.5ポンドに引き上げられた。受信料は主にBBCのテレビ・ラジオ・オンラインサービスの運営に使われる。YouTubeや動画配信サービスの台頭で多くの若者はテレビ放送を視聴しなくなり、受信料を支払わない世帯も増えている。

王立憲章は27年末に見直されるため、受信料制度も場合によっては課税型、サブスクリプション型、混合型など代替モデルに変えるか検討されている。そんな微妙な時期に今回の騒動は起きた。英紙ガーディアンのコラムニスト、ポリー・トインビー氏は11月10日付コラムにこう書く。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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