コラム

「ウクライナは本来の国土の姿を取り戻せる」...急転換したトランプ発言の虚と実

2025年09月27日(土)20時04分

独キール世界経済研究所は「米国ではなく欧州がウクライナへの武器生産支援で主要国になった」と報告している。欧州から提供される武器の大半は既存の備蓄からではなく、防衛産業との直接契約による調達に切り替わった。今年4月以降、米国政府の支援はゼロだ。

5月、第2次トランプ政権発足以来初めて米国はウクライナへの主要な武器輸出を承認したが、キーウが自費で調達する枠組み。ドイツは50億ユーロの軍事支援を決定、ノルウェー15億ユーロ、ベルギー12億ユーロ、オランダ、英国、デンマークは各5億~6億ユーロを拠出した。

「平和プロセスへの参加を完全に放棄した宣言」

英誌スペクテイターのオーウェン・マシューズ氏は9月24日付コラムで「トランプ発言はキーウとウクライナの戦況にとって大変な悪材料。これはウクライナへの支援宣言ではなく、平和プロセスへの参加を完全に放棄した宣言だ」と解説する。

「最も注目すべきなのは、ウクライナ戦争はもはや欧州の責任で、NATOを米国とは別個の存在として明確に位置づけた点だ。トランプ氏は占領地維持を容認する停戦提案など大幅な譲歩を示したが、プーチンはNATO領空侵犯まで行った。トランプ氏は交渉に見切りをつけた」

戦争研究の第一人者、英キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授は自らの有料ブログ(9月23日付)で「戦争終結の見通しは立たない。双方とも消耗しつつ見込みのない勝利への投資の深みにはまり、決定的な勝ち筋は見えていない」と指摘する。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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