コラム

「ウクライナは本来の国土の姿を取り戻せる」...急転換したトランプ発言の虚と実

2025年09月27日(土)20時04分
ゼレンスキー大統領と会談したトランプ大統領

ゼレンスキー大統領と会談したトランプ大統領(9月23日) EYEPRESS via Reuters

<トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と会談した後、ウクライナは勝利できるなどとSNSに投稿し、「ロシアは『張り子の虎』」とも書き込んだ>

[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領が9月23日、国連総会に合わせてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談、ウクライナ戦争と和平交渉を巡る立場を急転換した。会談直後、自身が創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」にこう投稿した。

「欧州連合(EU)の支援を受けたウクライナは本来の国土の姿を取り戻し、勝利を収める立場にある。時間と忍耐、欧州、特に北大西洋条約機構(NATO)からの資金的支援があれば、この戦争が始まった時点の国境を回復することは十分に可能だ」

交渉に応じるふりをしながらウクライナ市民への無差別攻撃を続けるウラジーミル・プーチン露大統領について「ロシアは3年半もの間、無意味に戦争を続けている。本物の軍事大国であれば1週間もかからなかったはずだ。ロシアは『張り子の虎』のように見える」となじった。

4月以降、米国政府のウクライナ支援はゼロ

トランプ氏は「ガソリンを入れるのに長い行列ができ、手に入れるのはほとんど不可能だ。戦争経済の下で国の資金の大部分がウクライナとの戦争に費やされている。プーチンとロシアは深刻な経済危機に直面しており、今こそウクライナが行動を起こすべき時だ」と書き込んだ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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