コラム

戸建てシフトで激変する住宅市場

2026年04月08日(水)12時22分

BEAUTY-BOX/SHUTTERSTOCK

<あまりの価格高騰でもはやマンション開発は無理? 分譲マンションを主戦場にしてきた大手デベロッパーが戸建てに活路を見出しはじめた>

激しいインフレの影響で、住宅市場の姿が大きく変わりつつある。大手デベロッパーにとって住宅市場の主戦場は分譲マンションだったが、あまりの価格高騰で販売個数が激減し市場が縮小している。企業の中には、戸建て住宅の販売に軸足を移すところも出てきている。10年後、私たちが購入する家の姿は全く違ったものになっているかもしれない。

不動産大手の東京建物は、戸建て住宅事業に再参入する。同社はオフィスビルなど大規模開発を手掛けることが多く、住宅については「ブリリア」というブランド名で分譲マンション販売を行ってきた。かつては戸建て住宅も手掛けていたが、マンション事業の収益性が高いことから戸建て市場からは撤退していた。それにもかかわらず、このタイミングで同市場に再参入する最大の理由は、分譲マンション市場の急激な縮小である。


日本では、日銀による大規模緩和策が現在も継続している。市場には依然として大量のマネーが供給されており、余剰資金の多くは不動産市場に向かう。

特に近年は、ロシアによるウクライナ侵攻などによって、世界的なインフレ傾向が顕著となっていることから、国内のマンション価格は激しく上昇を続けてきた。既に東京23区の新築マンションの平均販売価格は1億5000万円に迫る勢いであり、庶民が23区内に新築マンションを買うことは不可能となった。デベロッパー各社は、購買力の高い富裕層を狙って高級タワーマンション市場にシフトしているが、これらは供給過剰となりつつあり、販売戸数は今後、大きく減ると予想される。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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