コラム

ロンドン警察を怒らせたバンクシー、ついに正体判明へ? 裁判所への「抗議の壁画」で捜査を開始

2025年09月10日(水)17時26分

パレスチナを舞台にしたバンクシー作品は他にもある。03年にはヨルダン川西岸地区に『花を投げる男』が描かれた。男が手に持つ花束は希望の象徴であり、暴力と紛争に満ちた世界において平和を訴える。平和的な抵抗のメッセージこそバンクシー作品の真髄である。

英政府「イスラエルの行為はジェノサイドにあらず」

英国は第一次大戦中の1917年に行ったバルフォア宣言以来、イスラエルの建国過程に深く関わってきた。現在ではイラン、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ抑止のため協力する両国は安全保障・サイバー・科学技術を含む包括的協力ロードマップを政府間で結んでいる。

ガザ地区におけるイスラエルの掃討作戦は行き過ぎだとしてスターマー英政権は約350件の輸出許可のうち約30件を停止した。ステルス多用途戦闘機F-35国際共同計画向け部品は除外したことについて、英高等法院は政府の裁量権を認めている。

英国のデービッド・ラミー副首相(前外相)は「イスラエルの行為はジェノサイドには当たらない」との立場を示した。キア・スターマー首相はイスラエルがガザの悲惨な状況を終わらせる実質的な措置を取らなければ、9月の国連総会でパレスチナ国家を承認すると発表した。

度を越したイスラエルのガザ掃討作戦を正当化するのは難しい。英国内では抗議デモの参加者を大量に逮捕する一方で、建前はパレスチナ、本音はイスラエルというどっちつかずの偽善外交を続けるスターマー氏に有権者は愛想を尽かしつつある。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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