コラム

ロンドン警察を怒らせたバンクシー、ついに正体判明へ? 裁判所への「抗議の壁画」で捜査を開始

2025年09月10日(水)17時26分

抗議集会で890人が逮捕されたことへの静かな抵抗とみられるバンクシーの新作はすぐに黒いシートとバリケードで覆われ、「文化的な建造物本来の姿に戻す義務がある」と消去される方針が発表された。バンクシー自身は最高2年の禁錮に問われる可能性がある。

法廷でバンクシーが誰なのか、ついに明らかにされるかもしれない。

抗議集会の主催団体は「新作は『パレスチナ・アクション』のテロ団体指定でイヴェット・クーパー新外相(前内相)が抗議者に行った残虐行為を力強く描いている。法律が市民の自由を抑圧する道具として使われると反対意見は消滅するのではなく、むしろ強化される」と訴えた。

平和的な抵抗のメッセージこそバンクシー作品の真髄

バンクシーは1990年代から英国を拠点に活動する匿名ストリートアーティスト。絵柄をくり抜いたシートにペイントやスプレーを振りかけ転写するステンシル技法でネズミ、警官、猿、子ども、兵器をモチーフに反戦・反権威・監視社会を批判してきた。

作品にはウィットとユーモアが込められている。

代表作の一つに『風船と少女』がある。英国のメディアはバンクシーの正体を探ってきた。2008年には英大衆日曜紙メール・オン・サンデーの調査報道で英西部の港湾都市ブリストル出身のロビン・ガニングハム氏と指摘されたが、決定的な本人確認はできなかった。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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