コラム

ロンドン警察を怒らせたバンクシー、ついに正体判明へ? 裁判所への「抗議の壁画」で捜査を開始

2025年09月10日(水)17時26分
ロンドン王立裁判所の新作でバンクシーの捜査開始

ロンドン王立裁判所の外壁に描かれたバンクシーの新作を眺める通行人(9月9日) Toby Melville-Reuters

<王立裁判所の壁に「抗議者に木槌を振りかざす裁判官」を描いたバンクシー。パレスチナ支援団体によるデモへの取り締まりを強める中でバンクシーにも厳しい対応が>

[ロンドン発]1882年に建てられたロンドン王立裁判所の外壁に9月8日、抗議者に木槌を振りかざす裁判官の姿を描いたバンクシーの新作が現れた。王立裁判所は最も厳重に保護される歴史的建造物のため、バンクシーの新作は損壊にあたるとしてロンドン警視庁が捜査を始めた。

■【動画】バンクシーの新作が早くもバリケードで隠された様子。内側では壁画を消す作業が行われているのを目撃

バンクシーは自身のインスタグラムに「ロンドン王立裁判所」というキャプションを付けて新作の写真を投稿した。かつらとガウン姿の裁判官が振りかざす木槌を血のついたプラカードで防ごうとする抗議者の姿を描いている。無力で非暴力の抗議者は地面に倒れ込んでいる。

パレスチナ支援団体「パレスチナ・アクション」が英空軍基地で空中給油機にペンキをかけ、テロ団体に指定された後、支援デモで逮捕者が相次いでいる。9月6日にはロンドンの議会広場周辺でテロ指定の解除を求める集会が開かれ、890人がテロリズム法違反容疑などで逮捕された。

「法律が自由抑圧の道具になると反対意見は強化される」

テロ指定団体への支持を示す旗やロゴの表示はテロリズム法で厳しく禁止されている。警察は「集会の一部で組織的な暴力行為があった」と発表したのに対し、主催団体は「高齢者や聖職者、退役軍人も含む平和的な座り込みだった」と反論している。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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