コラム

英国に協力するアフガン人データを、英国防省が大量漏洩...タリバンは数万人の「殺害リスト」所持か

2025年07月16日(水)18時15分

英国防省のジェームズ・ヒーピー閣外相(当時)は米国同時多発テロ以来20年ぶりにアフガンを制圧したタリバンが3万3000人の「殺害リスト」を持っている可能性があるとの警告メールを受け取った。家族を含めると10万人が死の危険にさらされる恐れがあった。

デーリー・メール紙記者が情報を入手したものの国防省と国家安全保障報道基準委員会の「人命を危険にさらす」という判断で記事掲載を差し止めた。高等法院は翌9月、世界中を対象に超差し止め命令を出した。政府の秘密や差し止めを口にしただけでも投獄される可能性があった。

「タリバンに見つかるのではないかと心配」

漏洩が起きた後、英国政府は70億ポンド(約1兆4000億円)を投じて協力者2万3900人の空路による極秘脱出作戦を開始。うち1万8500人がすでに英国に到着している。しかし数万人が依然としてアフガンに残されている。

妻と子ども2人と身を隠す元通訳の1人はデーリー・メール紙に「こんなことが起こるなんて信じられない。私と家族の命が危ないと思うと不安だ。タリバンに見つかるのではないかと心配している。私たちの将来にどのような影響を与えるのか非常に混乱している」と話している。

英国政府に救出された協力者のうち900人以上が賠償を求めて提訴するためマンチェスターの法律事務所に相談しており、原告の数が増えるのは必至だ。救出と再定住の費用に加え、さらに10億ポンド(2000億円)の賠償金が上乗せされる可能性すらある。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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