コラム

英国に協力するアフガン人データを、英国防省が大量漏洩...タリバンは数万人の「殺害リスト」所持か

2025年07月16日(水)18時15分

タリバンが報復を行う意図を示した証拠はほとんどない

国防省保有地の実に20%がアフガン人の再定住住宅に充てられている上、新規到着者の10人に1人が「ホームレス制度」の対象者だ。英国政府は深刻な財政難に陥っているため、難民をホテルに収容していることに対して市民の反対運動が起きている。

ヒーリー国防相は元国防情報部副部長の独立調査報告書をもとに(1)タリバンが元政府高官に対する報復を行う意図を示した証拠はほとんどない(2)現在タリバンの統治に挑戦する者は政権から弾圧されるリスクが高い──と指摘した。

23カ月に及んだ差し止めの解除と再定住ルートの閉鎖について「タリバンは旧政権から引き継いだ膨大なデータを使えば個人を標的にすることはすでに可能だ。スプレッドシートに載っているというだけでタリバンの行動を促す情報になる可能性は極めて低い」と結論付けた。

メール1通の誤送信で最大10万人の命を危険にさらし、1兆6000億円もの血税が充てられるとは――。誰もがうっかりハマってしまいかねない罠ではあるものの、高くついた緊張感と責任感の欠如と言うほかない。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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