コラム

ロシアの戦略戦争に「中国が加担している」...ゼレンスキー大統領の「中国糾弾」の計は奏功するのか

2025年04月19日(土)20時11分

ゼレンスキー氏は4月8日の記者会見でウクライナ軍が東部ドネツク州の前線でロシア軍の一員として戦っていた中国人兵士2人を拘束したことを明らかにした。「北朝鮮人民軍は露西部クルスク州でウクライナ軍と戦ったが、中国人兵士はウクライナ領内で戦っている」と糾弾した。

150人超の中国人がロシア軍とともに戦闘に参加

「ウクライナ領内で中国人兵士を捕虜にした。 ウクライナ軍はドネツク州で中国人兵士6人と交戦した。 うち2人が捕虜となった。身分証明書、パスポート、クレジットカードも所持品から発見された。彼らは紛れもない中国人民だ」(ゼレンスキー氏)

ゼレンスキー氏は中国人兵士の存在はプーチンが戦争継続を望んでいる証拠だとし、9日には「150人を超える中国人民がロシア軍とともにウクライナで戦闘に参加している。平和を唱えながらロシアの占領軍を支援することは矛盾する行為だ」と西側諸国に対応を求めた。

トランプ氏は中国からロシアを引き離すことで2対1の状況から「三すくみ」に持ち込もうとしている。これに対してゼレンスキー氏は中露対米欧の対立構造を維持しようと必死だ。しかし習主席まで敵に回すことがウクライナにとって果たして得策なのだろうか。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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