コラム

ロシアの戦略戦争に「中国が加担している」...ゼレンスキー大統領の「中国糾弾」の計は奏功するのか

2025年04月19日(土)20時11分

ウクライナは翌18日、ロシアが戦争に使用した同国製短距離弾道ミサイル9K720「イスカンデル」の製造に関与したとして中国企業3社を制裁リストに加えた。

ともに強い反米欧感情を持つ中国の習近平国家主席とプーチンは「親愛なる友人」と呼び合い、60回以上会談している仲。ロシアのウクライナ侵攻直前に「限界のない」友好関係を宣言したものの、ウクライナ戦争に巻き込まれないよう習主席は直接関与を慎重に避けてきた。

米NGO(非政府組織)「科学国際安全保障研究所」(ISIS)は2022年5月~23年12月末までに中国企業からロシアの輸入業者へ輸出された明細を調査した。ドローン(無人航空機)やミサイルを製造するために必要な西側の電子機器・部品には厳しい貿易管理が敷かれている。

規制品目を第三国経由で迂回輸入するネットワークを構築

ロシアは規制品目を第三国経由で迂回輸入するネットワークを構築しており、主に中国経由で調達している。調査期間に中国からロシアへ輸出された規制品目は15億ドル相当にのぼり、西側企業が設計・製造した電子機器・部品が多く含まれていた。

中国からロシアへの規制品目の流入は22年から23年にかけて激増しており、米テキサス・インスツルメンツ、ザイリンクス、アナログ・デバイセズ、インテル、NVIDIA、STマイクロエレクトロニクス製の規制品目が中国経由でロシアに流れ込んでいた。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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