コラム

ついにEUを離脱したイギリスの「脱欧入亜」に現実味

2021年01月14日(木)16時40分

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日英EPAに署名したエリザベス・トラス英国際貿易相と茂木敏充外相(10月23日) KIM KYUNG-HOON-REUTERS

5G基地局設備はファーウェイ、エリクソン、ノキアの3社が8割近いシェアを占める。基地局設備の供給は垂直統合され、新規参入は難しい。しかし携帯電話のグローバルオペレーターであるボーダフォンやO2はオープン化によるコスト削減を切望していた。

NECはエリクソンやノキアの寡占を打ち破るため、NTTドコモや楽天モバイルで実績を築いた「O-RAN」を持ち込んだ。しかもイギリスの中でも取り残されるウェールズでシステムを実証して、EU離脱を機に地域の経済格差解消に取り組むジョンソン政権の心をわしづかみにした。

日本とイギリスは昨年、包括的経済連携協定(日英EPA)を結び、今後、高度人材の交流も可能になる。さらにイギリスは環太平洋経済連携協定(TPP)加盟を望んでおり、アメリカもバイデン政権に移行すればTPP復帰の芽が出てくる。EU離脱で自由を得たイギリスはTPPを足掛かりに「脱欧入亜」を一気に進めてくるはずだ。

NECの成功例を見習いつつ、日英EPAやTPPをプラットフォームに金融や環境、データ、テクノロジーの連携を強められるかが、日系企業が21世紀を生き抜けるのかの鍵を握る。ライバルはシンガポールと韓国だ。このチャンスを逃す手はない。

<本誌2021年1月19日号掲載>

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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