コラム

韓国で「週4日勤務制」は導入可能か

2021年09月22日(水)13時37分

「週52時間勤務制」が実施される前までも、残業時間を含む1週間の最大労働時間は、勤労基準法の規定上は52時間であった。しかしながら、「時間外労働(韓国では「延長勤務」)に「休日勤務」は含まれないと雇用労働部が解釈したため、労働者は1週間の法定労働時間40時間に時間外労働最大12時間、そして休日勤務最大16時間を合わせた合計68時間まで働くことが許容されてきた。

しかしながら、2018年7月の改正勤労基準法で、「休日勤務は延長勤務に含まれる」と行政解釈を修正した結果、1週間の最大労働時間を52時間にする「週52時間勤務制」が実施されることになった。休日勤務手当は変更されず、8時間以下分に対しては50%の加算が、8時間超過分に対しては100%の加算が適用される。

図表1 改正前後の一週間の労働時間の上限等

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出所:雇用労働部ホームページから筆者作成

また、2018年の法改正までは法定労働時間の例外適用が認められていた「特例業種」が存在していた。しかしながら、労働組合側は特例業種の認定は無制限労働をもたらすと、全面廃止を要求してきた。そこで改正法では労働界の要求をある程度受けいれて、法定労働時間の例外適用が認められていた特例業種を従前の26業種から5業種(陸上運送業、水上運送業、航空運送業、その他運送関連サービス業、保健業)に縮小した。

一方、満15歳以上から満18歳未満の年少労働者の法定労働時間は1週間に40時間から35時間に、そして延長勤務時間は6時間から5時間に制限される。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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