コラム
経済ニュース超解説 加谷珪一

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

経済ニュース超解説 加谷珪一

日本を苦しめる「デジタル赤字」...問題解決のために、さらなる「赤字の拡大」が必要となるワケ

<貿易赤字が定着しつつある日本で、特に問題視されているのが海外IT企業に支払うクラウドサービス利用料などのデジタル関連の赤字だ> このところ

2024.05.23
経済ニュース超解説 加谷珪一

総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長」案は、なぜ避けて通れない議論なのか?

<国民年金の納付期間を現状の60歳から65歳までに延長する制度改正案。なぜこのタイミングで検討されているのか> 国民年金の納付期間を65歳ま

2024.05.15
経済ニュース超解説 加谷珪一

大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

<アベノミクスの副作用や低賃金も、ここまで事態が深刻化した背景には長年にわたり日本社会に存在してきた共通の問題点がある> 大阪・関西万博の開

2024.05.09
経済ニュース超解説 加谷珪一

マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

<日銀が金融政策を転換した後も、為替は円高に戻すどころか円安がさらに進行。予測を外した関係者たちが「見落としていた」ものとは?> 日銀が「マ

2024.04.23
経済ニュース超解説 加谷珪一

紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い...規制緩和の問題は、むしろ日本独自の「歪み」にある

<小林製薬「紅麴サプリ」問題をめぐり、2015年に安倍政権の成長戦略の一環として導入された機能性表示食品制度がやり玉にあがるが> 小林製薬の

2024.04.17
経済ニュース超解説 加谷珪一

「国産旅客機に再挑戦」も、このままでは今回も「失敗」が目に見えている理由...問題は技術ではない

<三菱重工の撤退を受けて新たな国産航空機戦略を経産省が提示したが、これまでの失敗の原因となった課題はクリアできるのか> 三菱重工業がジェット

2024.04.11
経済ニュース超解説 加谷珪一

日銀の植田総裁が「さらなる景気悪化」のリスクを知りつつ、それでもマイナス金利「解除」を決断した理由

<際限ない円安と物価上昇を回避する必要があったのは間違いないが、現実問題として今の日本経済はボロボロの状態> 日銀がマイナス金利政策の解除に

2024.04.03
経済ニュース超解説 加谷珪一

中小企業が賃上げできない、日本の「特殊」な要因...公取の「活発な動き」には大きな意味がある

<あまり「動かない」役所だった公正取引委員会だが、最近の活発な動きは「中小企業の賃上げ」を進める原動力になり得る> このところ公正取引委員会

2024.03.28
経済ニュース超解説 加谷珪一

日本のGDP「4位転落」は危機的状況...最大の問題は、「一喜一憂する必要なし」という認識の甘さだ

<日本だけが長期にわたって成長できず、普通に成長してきたドイツに抜かれた現状の厳しさを認識できていない経済界の大問題> 日本のGDPがドイツ

2024.03.15
経済ニュース超解説 加谷珪一

「資本主義では豊かになれない」と感じる人が増え続ける今...世界経済が「中世」に逆戻りする可能性

<資本主義と民主主義を拡大する流れで発展してきた国際社会だが、現在は各国でこれに逆行する出来事が相次いでいる> このところ、資本主義や民主主義といった、いわゆる近代的システムがうまく機能しなくなっていると懸念する声をよく耳にする。長期的な時代の変化というのは、後になってみなければ分からないものであり、短期的に結論を下すことは避けたほうがよい。 だが、近代的枠組みが大きく揺らいでいるのは間違いなく、そうした視点での議論も必要となってくるだろう。 過去100年の国際社会は、近代国家の枠組みを軸に資本主義と民主主義を拡大する流れで発展してきた。国ごとに程度の違いはあるにせよ、大きな方向性としては効率のいいグローバル市場の追求と、世界共通の理念として人権を担保する方向性が模索された。だが近年、一連の流れと逆行する出来事が相次いでいる。 欧米社会とは基本的価値観が異なる中国が覇権国として台頭し、ロシアは戦後社会では禁止されていたはずの侵略戦争をあっけなく実施してしまった。中東各国も目覚ましい発展を示しており、民主国家と異なる価値観を持つ国が相対的に大きな力を持つようになってきた。 一方、西側諸国内部の変化も大きい。アメリカは長く国是としてきた自由貿易主義を自ら放棄しつつあり、建国当初を彷彿とさせる自国中心主義、保護貿易主義に向けて動き始めたように見える。 政治がまともに機能しなくなって久しい日本 同時並行で政治の機能不全も顕在化しており、政府の権威は相当程度まで落ちたとみてよい。今回のアメリカ大統領選挙はかつてないほど社会の分断が露呈する状況となっており、誰が大統領になっても社会の混乱は不可避といえるだろう。 日本はある意味で各国より先行しており、政治がまともに機能しなくなってから既に久しい。一連の機能不全の根底には、多くの国民が、このまま資本主義社会の運営を続けていても、これ以上、豊かになれないと感じ始めている現実がある。 一連の出来事から多くの知識人が、今後の国際社会は民主主義の後退と分断が進むのではないかと考え始めている。社会の分断化が進めば貿易が停滞し、人の往来や知見の共有も制限されるため、分断はますます顕著となる。このまま国際社会の混乱が続いた場合、数百年かけて築いてきた近代的システムが瓦解し、中世の時代に逆戻りする可能性すらささやかれている状況だ。 ===== 格差が固定された世界へ --> 格差が固定された世界へ 中世の時代には統一した権力が存在せず、あちこちに小さな権力と暴力が分散していた。ミクロのレベルで悲惨な事案が多発する一方、社会全体としては大きな変化がなく安定していたのが特徴である。 前近代的社会においては、市場が分断化されてコストが増加するため、モノの値段が高くなる。供給に制限が加わるので経済活動も停滞。市場拡大が見込めないため金融システムが発達せず金利も高く推移する。 多くの人にとって機会が奪われる一方、土地や事業資産、あるいは金融資産を所有している人は、そこから一定の利子や配当を得ることができるので、「持てる」人たちにとっては意外と居心地がよい。つまり世界全体が前近代化していくと、社会の再分配機能が低下し、結果として階層間の移動も起こりにくくなる。 このままの状態を放置すれば、こうした未来への蓋然性は確実に高まってくるだろう。変化への対応は目に見えてからでは遅く、手を打つなら今しかない。

2024.03.06
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特集:世界も「老害」戦争
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2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

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