コラム

米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?

2025年04月16日(水)19時32分

保護主義と高関税はアメリカの「伝統的スタイル」

アメリカの歴史をさかのぼれば、自由貿易を主張した南部と、強固な保護貿易を主張した北部(リンカーン大統領率いる北部が提唱した通商政策は現在のトランプ政権に近い)が関税をめぐって内戦(南北戦争)を行い、北部が勝利したことで、長く保護主義と高関税の時代が続いた。

自由貿易だったのは戦後80年間のみであり、今回のトランプ政権の政策は過激で身勝手ではあるものの、アメリカの伝統的スタイルに戻ったとも言える。この流れが本物だった場合、戦後、世界経済の基軸となっていたアメリカ中心の自由貿易体制が終焉に向かって動き出した可能性も出てくる。


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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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