最新記事
オピニオン

中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」

China Can't Win a Trade War Against the U.S. for One Simple Reason | Opinion

2025年4月14日(月)09時10分
ゴードン・チャン(作家、コラムニスト)
ドナルド・トランプ米大統領(左)と習近平・中国国家主席

2019年のG20サミットで対峙したドナルド・トランプ米大統領(左)と習近平・中国国家主席 REUTERS/Kevin Lamarque

<ついに米中貿易戦争の火蓋が切られた。習政権は強気の姿勢だが、3つの要因からアメリカに勝てないだろう。経済規模はアメリカが上、中国が貿易黒字国、そしてもう1つは、中国経済の「ある特徴」だ>

ドナルド・トランプ米大統領は4月7日、中国に対し、追加で50%の関税を課すと警告した。4月4日に中国が発表した34%の上乗せ関税に対する対抗措置だが、その「34%」は4月2日にトランプが中国製品に叩きつけた上乗せ関税と同率だった。

米中両国による関税措置は、エスカレーションの一途をたどっている(編集部注:4月12日時点で、アメリカが中国からの輸入品に課す追加関税は最大で計145%、中国がアメリカからの輸入品に課す追加関税は計125%に引き上げられている)。

貿易戦争の火蓋が切られた。どちらが先に引き下がるのか。

「習(近平)国家主席がトランプ大統領に電話して譲歩を求めると期待するのは、極めて甘い見通しだ」と、米ブルッキングス研究所のライアン・ハース上級研究員は4月4日、X(旧ツイッター)に投稿した。

「習が謝罪してくるとトランプに進言している者がいるなら、職務怠慢だ。今の北京にはそのような空気も計画もない」

確かにその通りだが、習近平にトランプに謝罪しないよう進言している者がいたとしたら、それも危険な職務怠慢だ。中国経済はアメリカ市場に大きく依存しており、脆弱な立場にある。さらに悪いことに、交渉のカードをほぼ独占しているのはトランプのほうだ。

それでも、ハースの分析は正しく、習が対立姿勢を崩す気配はない。貿易戦争を回避するために、自国の略奪的・違法的な経済手法――特に、世界に中国製品をあふれさせる原因である製造業の「過剰生産」を見直すこともできたはずだった。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ステランティスCEO、米市場でハイブリッド車を最優

ビジネス

米ダラー・ゼネラル、通期の業績予想を上方修正

ビジネス

実質消費支出10月は3.0%減、6カ月ぶりマイナス

ワールド

マラリア死者、24年は増加 薬剤耐性や気候変動など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 7
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中