コラム

日本経済の「異常」が終わる時、何が起きるか...所得増とビジネス活性化の一方、危機に陥るのは?

2025年03月20日(木)15時48分

市場は長期金利の上昇に警戒モードを強める

だが国債の平均金利が2%になった場合、政府が負担しなければならない利払い費は年間20兆円以上に達する。日本国債の平均残存期間は約9年なので、この金利水準が続くと、数年で利払い費の負担は極めて大きなものとなる。

昨年の総選挙で自民党が少数与党に転落したことを受け、野党の要求については一定程度、受け入れる必要が出てきており、財政支出は拡大する可能性が高い。ただでさえ予算が膨張するなか、消費税に換算すれば8%分もの追加支出が生じた場合、政府の財政は到底耐えられないだろう。


市場は長期金利の上昇に警戒モードを強めているが、さらに困った事態が発生している。それはドナルド・トランプ米大統領が日本に対して円高を求める発言を行っていることである。

トランプ氏は3月3日、円安・ドル高でアメリカの製造業が不利な立場に置かれているとして日本を名指しで批判した。日本に円安是正を求める代わりに、関税引き上げを通告するとも発言しており、トランプ氏の本当の狙いが為替なのか関税なのか、さらには別の材料があるのか、現時点では不透明である。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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