最新記事
猛暑

熱中症対策の新常識、専門家が教える4つの方法──尿の色チェックから手のひら冷却まで

2025年8月26日(火)12時14分
杉田正明(日本体育大学体育学部 教授)*PRESIDENT Onlineからの転載
熱中症対策の新常識、専門家が教える4つの方法──尿の色チェックから手のひら冷却まで

miya227 -shutterstock-

<夏の猛暑で心配される熱中症...オリンピックアスリートを支えてきた日本体育大学・杉田正明教授が、最新の知見に基づいた水分補給と体温管理の実践法を紹介する>

熱中症対策ではどんなことに気をつければいいのか。日本体育大学の杉田正明教授は「運動時などに水分補給をする場合は、純粋な水よりも体液に近い内容の水分が望ましい。水だけを大量に摂ると、いわゆる『水中毒』になってしまう可能性がある」という――。

※本稿は、杉田正明『トップアスリートが実践している世界最強の健康マネジメント』(アチーブメント出版)の一部を再編集したものです。

熱中症対策①:おしっこチェック

熱中症にならないために大事なことは、まず深部体温を上げないこと。そのため、良質なタンパク質を含む食品を積極的に摂りましょう。次に汗で失われる水分やミネラルをきちんと補うことです。

マラソン選手は、大会数日前から1日1.5lから2lの水を飲む「ウォーターローディング」で体内に水分を備蓄して脱水症状を予防していますが、一般の方でも夏場は毎日ウォーターローディングをしても良いと思います。


ウォーターローディングは、1時間に800mlを上限として、1回250ml程度の水分を1時間に2~4回に分けて摂ります。

人間の体重の60~65%は水分だと言われていますが、体の水分が足りているかどうかの目安になるのが、おしっこです。尿の色による脱水症状判定チャートがあり、レモネード色だとOKですが、リンゴジュース色だとNGです。

このチャートは厚生労働省をはじめ、各自治体でもWEBサイトで公開しているので、ぜひ一度、チャートの色を確認しておくと良いでしょう。

そして、朝起きたときにトイレでおしっこの色をチェックして、リンゴジュースの色をしている場合は、その後すぐ水分を摂ればいいのですが、摂らないと脱水状態になりやすくなります。

水を1杯飲むことで、30分後ぐらいに色の薄いおしっこが出ると思います。

このとき、「朝起きると脱水気味だから、夜、寝る前にたくさん水分を摂ろう」というのはNGです。なぜなら、寝る前に水分を摂ると、夜中に尿意で何回も目が覚めたり、睡眠が邪魔されたりしてしまうので、寝る1時間ぐらい前からは水分をあまり摂らないようにしてください。

もし朝起きてリンゴジュース色だったら、その後しっかり摂れば問題ありません。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マクロスコープ:狭まる財政余力、国債費要求が過去最

ビジネス

7月の基調的インフレ指標、刈込平均値と加重中央値が

ワールド

中国貿易交渉官が週内訪米、次官級当局者と会談も=米

ワールド

中ロは「世界平和の安定の源」、習主席がロシア下院議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 8
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中