防衛費を「倍増」させると、むしろ日本の「戦争能力」は弱まる? 仕組みを解説
しかしながら、日本の財政状況を考えると、税で増額分を調達するのは極めて難しい。一般会計の歳入に占める税収の割合は6割しかなく、残りは国債発行による借金である。
現在、ゼロ金利が続いていることから、利払いはわずか8兆円で済んでいる。だが日銀が金融正常化を行って金利が上昇した場合、利払い費が急増するのは間違いなく、仮に2%に金利が上がっただけで、最終的な支出額は20兆円近くに達する。
増額された防衛費と合わせると25兆円の支出増であり、これを税収でカバーするのはほぼ不可能だろう。
自民党の税調トップが、「防衛費を増額するなら、社会保障費の切り下げが必要」という発言を行って批判を浴びたが、今の予算に削れるところはほとんどないのが実状だ。仮に国債で調達した場合、財政リスクが高まり、戦争継続能力も低下せざるを得ないだろう。

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