コラム

年金が「減る」仕組みを理解しよう──物価・賃金との関係と「減額制度」の現実

2022年06月28日(火)19時52分

制度の在り方が再議論される可能性

日本は高齢化が急ピッチで進んでいることから、現役世代の負担が過度に重くなっており、これを是正するため、政府は04年からこの制度をスタートさせた。日本の高齢化は当分の間、継続することがほぼ確実視されており、年金もこれに合わせて毎年減額されていく。

これまでは物価の下落が続いていたことから、減額の影響は最小限で済んでいたが、今後、インフレが長期化するとそうはいかなくなる。国民年金しか加入していない人の場合、支給額の絶対値が少ないため、生活がより苦しくなることが想定される。物価上昇が止まらなかった場合、年金制度の在り方が再度、議論される可能性はそれなりに高いだろう。

今年度からは、年金の受け取り開始年齢も変更された。これまでは65歳を原則として、60~70歳の間で受け取り開始時期を選ぶことができたが(繰り上げ受給もしくは繰り下げ受給)、4月からは、繰り下げ受給できる年齢が75歳まで引き上げられた。繰り下げれば年金額は増えるが、それまでは自力で生活しなければならない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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