国力を削ぐ「人口減少」問題は、「移民の受け入れ」では解決できない
生産に従事する国民が減っているのであれば、産業の機械化やデジタル化を進め、より少ない人数で同じ生産を維持できればGDPは減少しない。付加価値が低く、国内で生産することが割に合わない財については、輸入でカバーすればよく、むしろ国内産業を付加価値を高める方向に誘導すべきである。その意味で、単純労働者の大量受け入れは、状況をさらに悪化させてしまう可能性をはらんでいる。
大量の外国人労働者が入国すれば、国内の賃金はさらに下がる。企業は機械化やデジタル化を進めるよりも低賃金な労働者を雇うことでコストダウンが可能となるので、イノベーションも阻害してしまうだろう。
日本はデジタル投資を軸にした消費主導型経済に舵を切るべきであり、安易な移民受け入れは、そうした流れに逆行しかねない。永住も視野に入れることを考えると、もし受け入れを実施するのなら、子供の教育支援など総合的な対策は必須だ。

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