コラム

日本が直面する「8割経済」 業種別に業績をシミュレーションすると......

2020年06月10日(水)12時04分

だが小売りや飲食の業績が悪化すると、こうした業界に商品を納入する卸の会社にも影響が及ぶ。卸業界で経営破綻が起きると、在庫処分などによって市場が混乱するので、できるだけこうした事態に陥らないような対策が必要だ。

この結果は大企業に限った話であり、資本金1000万円未満の中小企業の経営環境ははるかに厳しい。中小企業の場合、売上高が2割消滅するとほぼ全ての業種で赤字になってしまう。

赤字を出したことが即、経営破綻につながるわけではなく、資金繰りさえ確保できれば取りあえず事業は継続できる。だが中小企業は1社当たり平均1400万円ほどしか現金を保有しておらず、金融機関からの支援がなければ、自力での延命は難しい(大企業は1社当たり130億円の現金を保有)。

政府は企業に資金繰り支援を行っているが、支払いがスムーズに行われているとは言い難い。安易に融資を行うと、本来、存続できない企業まで延命させてしまうという弊害も指摘されているが、今は非常事態である。当面は企業の救済を優先するという柔軟なスタンスが必要だろう。

<本誌2020年6月16日号掲載>

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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