コラム

A-FIVEだけじゃない、安倍政権が推進する官民ファンドが失敗する当然すぎる理由

2019年12月24日(火)11時00分

ベンチャーキャピタリストはその代表だが、革新的な企業を発掘し、投資を通じて支援する人材は、金融業界の中でも極めて特殊なカテゴリーであり、高い専門性が要求される。こうしたファンドは基本的にハイリスク・ハイリターンで、出資者にも大きな損失を引き受ける覚悟が求められる。この職業が「地上に残された最後の職人」と称されるのはこうした理由からだ。

このような特殊な分野に、イノベーションやハイリスク投資とは正反対の場所にいる公務員が従事してもうまくいかないのは自明の理といってよい。しかも資金源が国民の血税である以上、基本的に失うことができないお金であり、民間から人材を雇ったとしても、構造的に思い切ったリスクを取ることができない。

政府主導による投資でイノベーティブな企業を育成できるのかという問題は、昔から議論されてきたが、全世界的にほぼ不可能であるとの見解で一致している。それにもかかわらず、日本は国家主導の投資を強化しているわけだが、これは実質的に負けが確定したゲームといってよい。

<本誌2019年12月24日号掲載>

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2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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